「SSDからRaspbianを起動する方法」の版間の差分
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microSDカードには書き込み回数の上限や劣化による寿命があり、起動しなくなる可能性がある。<br> | |||
そこで、USB接続したSSD等の外部ストレージからRaspbianを起動することで寿命を延ばすことができる。<br> | |||
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Raspbian OSを再起動する。<br> | Raspbian OSを再起動する。<br> | ||
sudo reboot | sudo reboot | ||
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== SDカード不要 SSD起動ディスク化 == | |||
Raspberry Pi 3 model Bにおいて、USBブートは実験的であり設定をOTP(One Time Programmable)メモリに書き込むと<br> | |||
2度と元の設定には戻せなくなる。(model B+では標準でUSBブートが可能になった)<br> | |||
但し、USBブートはmicroSDカードが挿入されていない場合のみ、USB接続した外部ストレージからの起動を可能にするものであり、<br> | |||
今まで通りmicroSDカードを挿入すればUSBブートは無効になる。<br> | |||
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===== Program USB Boot Modeの有効化 ===== | |||
まず、現在のOTPメモリの設定を確認するため、以下のコマンドを実行する。<br> | |||
17:1020000aが表示されていれば、Program USB Boot Modeが無効であることを表している。<br> | |||
sudo vcgencmd otp_dump | grep 17: | |||
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次に、Program USB Boot Modeを有効にするため、bootディレクトリに存在するconfig.txtファイルを編集する。<br> | |||
また、USBからの起動を待つタイムアウトを既定の2秒から5秒に延長するオプションも設定する。<br> | |||
sudo nano /boot/config.txt | |||
最下行に以下を入力する | |||
# Enable usb boot | |||
program_usb_boot_mode=1 | |||
program_usb_boot_timeout=1 #USBブートの起動を待つタイムアウトを5秒に延長 | |||
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Raspberry Piを再起動する。<br> | |||
sudo shutdown -r now | |||
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1度OTPメモリに書き込めば、Program USB Boot Modeの設定は不要なので、<br> | |||
再度、config.txtファイルを開いて program_usb_boot_mode=1のみをコメントアウトして保存する。<br> | |||
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OTPメモリの設定が変更されているか確認するため、以下のコマンドを実行する。<br> | |||
sudo vcgencmd otp_dump | grep 17: | |||
17:3020000aが表示されていれば、Program USB Boot Modeが有効であることを表す。<br><br> | |||
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===== SSDへRaspbianをインストール ===== | |||
外部ストレージとしてUSB2.0で接続可能な外付タイプのSSDを使用する。<br> | |||
SSDにRaspbianをインストールする方法は2種類存在し、両方を以下に記載する。<br> | |||
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* SD Card Copierでクローンを作成する方法 | |||
:SSDへのインストールにはSD Card Copierを使うので、起動中のRaspbianがSSDをブロックデバイスとして認識できれば、<br> | |||
:事前のパーティション操作やフォーマットは不要である。<br> | |||
:SSDのUSBコネクタをRaspberry PiのUSB端子に挿入すると、[リムーバブルメディアの挿入]画面が開くので、[キャンセル]ボタンを押下する。 | |||
: [[ファイル:Raspberry-Pi-Setup-01.png|center]]<br><br> | |||
:# まず、デスクトップ画面のタスクバー左端のメニューアイコンから[アクセサリ]→[SD Card Copier]を押下する。 | |||
:# 次に、[SD Card Copier]画面にある[Copy From Device:]項目のプルダウンから、<br>コピー元のmicroSDカードのデバイスファイル名(/dev/mmcblk0)″を選択する。 | |||
:# 同様に、[Copy To Device:]項目のプルダウンから、コピー先のSSDのデバイスファイル名(/dev/sda)を選択する。<br>[[ファイル:Raspberry-Pi-Setup-02.png|フレームなし|中央|Raspberry-Pi-Setup-02.png]]<br>[[ファイル:Raspberry-Pi-Setup-03.png|フレームなし|中央|Raspberry-Pi-Setup-03.png]] | |||
:# コピー先がmicroSDカードではないので、[New Partition UUIDs]チェックボックスにはチェックを入れずに[Start]ボタンを押下する。 | |||
:# "これはデバイス上のすべてのコンテンツを消去します。よろしいですか?"というメッセージが表示されるので、[Yes]ボタンを押下する。 | |||
:# 準備ができると2つのパーティションがコピーされる。 | |||
:# [Copy complete]画面が表示されたら[OK]ボタンを押下、[Close]ボタンを押下して[SD Card Copier]を終了する。 | |||
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* zipファイルからSSDにインストールする方法 | |||
:# まず、Raspberry Piの[https://www.raspberrypi.org/downloads/raspbian/ 公式Webサイト]にアクセスして、<br>最新のRaspbian Buster with desktop and recommended software(2019/6/26現在)をダウンロードする。<br>このとき、zipファイルは解凍しなくてもよい。<br> | |||
:# 次に、RaspbianをSSD(またはSDカード)に書き込むソフトウェアである[https://www.balena.io/etcher/ Etcher]をダウンロードしてインストールする。<br> | |||
:# 最後に、Etcherを起動してダウンロードしたRaspbianをSSDへ書き込む。<br> | |||
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===== SSDからRaspbianを起動 ===== | |||
まず、Raspbianをシャットダウンして、Raspberry PiからmicroSDカードを取り外す。<br> | |||
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次に、SSDはUSB端子に接続したまま電源を入れて、Raspbianが起動すれば完了である。<br> | |||
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最後に、SSDのパーティション構成とマウント状況を確認するため、以下のコマンドを実行する。<br> | |||
sudo lsblk | |||
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[[カテゴリ:Raspberry_Pi]] | [[カテゴリ:Raspberry_Pi]] |
2020年1月23日 (木) 21:42時点における版
概要
microSDカードには書き込み回数の上限や劣化による寿命があり、起動しなくなる可能性がある。
そこで、USB接続したSSD等の外部ストレージからRaspbianを起動することで寿命を延ばすことができる。
SDカード必要 SSD起動ディスク化
デバイス名の確認
以下のコマンドを実行する。
sudo fdisk -l | grep /dev/sda --結果-- Device Boot Start End Sectors Size Id Type /dev/mmcblk0p1 2048 3656250 3654203 1.8G e W95 FAT16 (LBA) /dev/mmcblk0p2 3656251 123494399 119838149 57.1G 5 Extended /dev/mmcblk0p5 3661824 3727357 65534 32M 83 Linux /dev/mmcblk0p6 3727360 3868671 141312 69M c W95 FAT32 (LBA) /dev/mmcblk0p7 3874816 123494399 119619584 57G 83 Linux Disk /dev/sda: 111.8 GiB, 120034121728 bytes, 234441644 sectors Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes Sector size (logical/physical): 512 bytes / 512 bytes I/O size (minimum/optimal): 512 bytes / 512 bytes Disklabel type: dos Disk identifier: 0x3d0e23d3
パーティションの作成
SSDのパーティションを作成するため、以下のコマンドを実行する。
# パーティションテーブルの設定を行う sudo fdisk /dev/sda
続いて、以下のように入力していく。
# d でパーティションを削除する Command (m for help): d Selected partition 1 Partition 1 has been deleted. # p で現在の状態を確認 Command (m for help): p Disk /dev/sda: 3.7 TiB, 4000787030016 bytes, 7814037168 sectors Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes Sector size (logical/physical): 512 bytes / 4096 bytes I/O size (minimum/optimal): 4096 bytes / 4096 bytes Disklabel type: gpt Disk identifier: F3BA4D9C-C2F7-43FF-837C-D3BFBFBF5C1D # n でパーティションを作成(何も入力しない場合は全てデフォルトとなる) Command (m for help): n Partition number (1-128, default 1): 1 First sector (34-7814037134, default 2048): 2048 Last sector, +sectors or +size{K,M,G,T,P} (2048-7814037134, default 7814037134): Created a new partition 1 of type 'Linux filesystem' and of size 3.7 TiB. # p で作成したパーティションを確認する Command (m for help): p Disk /dev/sda: 3.7 TiB, 4000787030016 bytes, 7814037168 sectors Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes Sector size (logical/physical): 512 bytes / 4096 bytes I/O size (minimum/optimal): 4096 bytes / 4096 bytes Disklabel type: gpt Disk identifier: F3BA4D9C-C2F7-43FF-837C-D3BFBFBF5C1D Device Start End Sectors Size Type /dev/sda1 2048 7814037134 7814035087 3.7T Linux filesystem # w で変更を書き込む Command (m for help): w The partition table has been altered! Calling ioctl() to re-read partition table. Syncing disks.
作成したパーティションの確認
上記で作成したパーティションを確認するため、以下のコマンドを実行する。
sudo fdisk -l --結果-- ...省略 Disk /dev/sda: 111.8 GiB, 120034121728 bytes, 234441644 sectors Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes Sector size (logical/physical): 512 bytes / 512 bytes I/O size (minimum/optimal): 512 bytes / 512 bytes Disklabel type: dos Disk identifier: 0x2a6be21a Device Boot Start End Sectors Size Id Type /dev/sda1 2048 234441643 234439596 111.8G 83 Linux
lsblk --結果-- NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINT sda 8:0 0 111.8G 0 disk └─sda1 8:1 0 111.8G 0 part mmcblk0 179:0 0 58.9G 0 disk ├─mmcblk0p1 179:1 0 42.9M 0 part /boot └─mmcblk0p2 179:2 0 29.8G 0 part
パーティションのフォーマット(ext4)
SSDに作成したパーティションをフォーマットするため、以下のコマンドを実行する。
sudo mkfs.ext4 /dev/sda1 mke2fs 1.43.4 (31-Jan-2017) Found a dos partition table in /dev/sda1 Proceed anyway? (y,N) y ←"y"を入力 Creating filesystem with 29305205 4k blocks and 7331840 inodes Filesystem UUID: bf3db726-f1fa-4a6c-a64b-fe48bbfa9a99 Superblock backups stored on blocks: 32768, 98304, 163840, 229376, 294912, 819200, 884736, 1605632, 2654208, 4096000, 7962624, 11239424, 20480000, 23887872 Allocating group tables: done Writing inode tables: done Creating journal (131072 blocks): done Writing superblocks and filesystem accounting information: done
自動マウントの設定
/etc/fstabにSSDのPARTUUIDを登録することにより、起動時に自動マウントすることができる。
PARTUUIDを登録する理由は、SSDのフルパスが変更されてもマウントできるからである。
まず、SSDのパーティションをアンマウントする。
sudo umount /dev/sda1
次に、マウントポイントを作成する。(ここでは、tmpディレクトリ内に作成する)
sudo mkdir /tmp/mmcrf /tmp/ssdrf sudo mount /dev/mmcblk0p2 /tmp/mmcrf ←Raspbian OSのルートディレクトリをマウント sudo mount /dev/sda1 /tmp/ssdrf
上記で作成した/tmp/mmcrfから/tmp/ssdrfへtarコマンドを使用して全てコピーする。
cd /tmp/mmcrf sudo tar --backup -c * | sudo tar -C /tmp/ssdrf -xv
ディスクの調整を行う。
sudo umount /dev/sda1 sudo e2fsck -f /dev/sda1
ブートファイルであるcmdline.txtを編集する。(cmdline.txtのバックアップを作成すること)
cmdline.txtの中にあるroot=/dev/mmcblk0p2をroot=PARTUUID=xxxxに変更する。
(PARTUUIDの値は、blkidコマンドを実行することで表示される)
sudo cp /boot/cmdline.txt /boot/cmdline.txt.org sudo nano /boot/cmdline.txt # 変更前 dwc_otg.lpm_enable=0 console=serial0,115200 console=tty1 root=/dev/mmcblk0p2 rootfstype=ext4 elevator=deadline fsck.repair=yes rootwait # 変更後 dwc_otg.lpm_enable=0 console=serial0,115200 console=tty1 root=PARTUUID=xxxxxxxx-xx rootfstype=ext4 elevator=deadline fsck.repair=yes rootwait
fstabを編集して、PARTUUIDの値を変更する。
fstabの設定に誤りがある場合、再起動時にemergency modeで起動されるので、必ずfstabファイルのバックアップを取ること。
sudo cp /etc/fstab /etc/fstab.org sudo nano /etc/fstab # proc /proc proc defaults 0 0 PARTUUID=xxxxxxxx-xx /boot vfat defaults 0 2 # SDカード内のbootディレクトリ PARTUUID=xxxxxxxx-xx / ext4 defaults,noatime 0 1 # SSD内のルートディレクトリ
Raspbian OSを再起動する。
sudo reboot
SDカード不要 SSD起動ディスク化
Raspberry Pi 3 model Bにおいて、USBブートは実験的であり設定をOTP(One Time Programmable)メモリに書き込むと
2度と元の設定には戻せなくなる。(model B+では標準でUSBブートが可能になった)
但し、USBブートはmicroSDカードが挿入されていない場合のみ、USB接続した外部ストレージからの起動を可能にするものであり、
今まで通りmicroSDカードを挿入すればUSBブートは無効になる。
Program USB Boot Modeの有効化
まず、現在のOTPメモリの設定を確認するため、以下のコマンドを実行する。
17:1020000aが表示されていれば、Program USB Boot Modeが無効であることを表している。
sudo vcgencmd otp_dump | grep 17:
次に、Program USB Boot Modeを有効にするため、bootディレクトリに存在するconfig.txtファイルを編集する。
また、USBからの起動を待つタイムアウトを既定の2秒から5秒に延長するオプションも設定する。
sudo nano /boot/config.txt
最下行に以下を入力する # Enable usb boot program_usb_boot_mode=1 program_usb_boot_timeout=1 #USBブートの起動を待つタイムアウトを5秒に延長
Raspberry Piを再起動する。
sudo shutdown -r now
1度OTPメモリに書き込めば、Program USB Boot Modeの設定は不要なので、
再度、config.txtファイルを開いて program_usb_boot_mode=1のみをコメントアウトして保存する。
OTPメモリの設定が変更されているか確認するため、以下のコマンドを実行する。
sudo vcgencmd otp_dump | grep 17:
17:3020000aが表示されていれば、Program USB Boot Modeが有効であることを表す。
SSDへRaspbianをインストール
外部ストレージとしてUSB2.0で接続可能な外付タイプのSSDを使用する。
SSDにRaspbianをインストールする方法は2種類存在し、両方を以下に記載する。
- SD Card Copierでクローンを作成する方法
- SSDへのインストールにはSD Card Copierを使うので、起動中のRaspbianがSSDをブロックデバイスとして認識できれば、
- 事前のパーティション操作やフォーマットは不要である。
- SSDのUSBコネクタをRaspberry PiのUSB端子に挿入すると、[リムーバブルメディアの挿入]画面が開くので、[キャンセル]ボタンを押下する。
- まず、デスクトップ画面のタスクバー左端のメニューアイコンから[アクセサリ]→[SD Card Copier]を押下する。
- 次に、[SD Card Copier]画面にある[Copy From Device:]項目のプルダウンから、
コピー元のmicroSDカードのデバイスファイル名(/dev/mmcblk0)″を選択する。 - 同様に、[Copy To Device:]項目のプルダウンから、コピー先のSSDのデバイスファイル名(/dev/sda)を選択する。
- コピー先がmicroSDカードではないので、[New Partition UUIDs]チェックボックスにはチェックを入れずに[Start]ボタンを押下する。
- "これはデバイス上のすべてのコンテンツを消去します。よろしいですか?"というメッセージが表示されるので、[Yes]ボタンを押下する。
- 準備ができると2つのパーティションがコピーされる。
- [Copy complete]画面が表示されたら[OK]ボタンを押下、[Close]ボタンを押下して[SD Card Copier]を終了する。
- zipファイルからSSDにインストールする方法
SSDからRaspbianを起動
まず、Raspbianをシャットダウンして、Raspberry PiからmicroSDカードを取り外す。
次に、SSDはUSB端子に接続したまま電源を入れて、Raspbianが起動すれば完了である。
最後に、SSDのパーティション構成とマウント状況を確認するため、以下のコマンドを実行する。
sudo lsblk